京都で創業190年余 - 漆器の老舗 漆器の井助 isuke

お問い合わせはこちら

075-344-9710


お役立ち情報

漆器のまめ知識

井助のインスタグラムで継続してアップしている内容を、まめ知識としてこのサイトでもまとめてみました。
皆さんにも是非知って頂きたい、漆器や材料の漆についてのお話です。
1つ1つは短くまとめていますので、気軽にお楽しみください。

最新の内容を見たい、という方は、当店のインスタグラムへどうぞ。

井助のinstagramはこちらから

漆器の使い方やお手入れについて

・漆器のお手入れ方法 洗い方は?

中性洗剤を使って柔らかいスポンジで洗います。
ゴシゴシ洗わず 優しく洗えばOK。

洗い終わったら 水気を布巾で 拭き取ります。
重箱の隅、椀の底等 水の溜まる場所は ちょっと気を付けて 拭きとりましょう。


・漆器のお手入れ方法 食洗器はOK?

漆器を洗う場合は 食洗機、乾燥機は 使わないで下さい。
その方が漆器は 長持ちします。

最近は食洗器対応の漆器も出てきていますが、強い洗浄力の洗剤や高温での乾燥は、漆器にとっては良くないです。


・漆器を使わない時は?(1)

漆は紫外線に弱いです。
収納するときは 直射日光の当たらない食器棚などに収納してください。

大切な漆器を 重ねて収納する場合、漆器と漆器の間に布や紙を挟みましょう。
擦れ合って傷付くのを 防げます。


・漆器を使わない時は?(2)

漆器は極度に乾燥した状態を嫌います。
乾燥が気になる場合、コップに水を入れて食器棚に置くと乾燥を防げます。

漆器を使って洗うと、水分を補給できます。
1年に最低1回でも使ってあげることが、一番良いお手入れ だったりします。


・冷蔵庫に入れて大丈夫?

冷蔵程度の温度なら冷蔵庫に入れて頂いても問題なし。
ただ、乾燥には注意。

また、水気のある食材の長期間の保存には、漆器は向きません。
漆器に盛り付け、 食事が始まるまで冷蔵庫に入れておく といった扱いがベター。

冷えた漆器も また楽し。


・お酢や油ものも大丈夫?

漆は元々、酸にもアルカリにも強い性質を持っています。
酢のものを盛り付けても 全く問題ありません。

油も問題ないです。
ただ油は高温になるので、油で揚げたら紙の上などに置いて油を少し吸わせてから盛り付けましょう。

このあたりは他の器と 同じです。


・熱い汁物でも 大丈夫?

汁椀があるくらいなので、熱い汁物ももちろん大丈夫です。
さすがに沸騰したてではなく、食べれる程度の熱さならまず大丈夫です。

気になる場合は、盛り付ける前に先にぬるま湯を入れます。
それで温度を馴染ませ、その後汁を入れると、急激に温度変化せず、漆器にも負担がかかりません。

何事も急激な変化はだめということですね。


・電子レンジは 使える?

基本的には漆器は 電子レンジでは使えません。
最近、電子レンジ対応の漆器も見かけるけれど、という声も頂きますが。

電子レンジ対応の漆器は、素材が特殊な樹脂製、 塗りも漆塗りではありません。
本来の木製漆塗りは、電子レンジ対応は難しいです。

別に温めたものを漆器に入れてお使いください。


・漆の匂いが するときは?

残念ながら、漆の匂いを取る特効薬はありません。
ぬるま湯で洗って風通しの良いところに置いておくと、匂いは抜けやすいです。

汁物などを入れるとまた匂いがする時もありますが、自然な漆の匂いなのでもちろん害もありません。
箱にしまい込まずに使って頂くと、自然と抜けていきます。

やはり使って頂くことが一番です。


・お正月の漆器「お重箱」(1)

実はお重箱は、コンパクトに お料理を盛り付けられる 機能性抜群の器。
「福が重なる」という お正月ならではの縁起物のアイテムでも あります。

年に1度でも使うことで乾燥を防ぐことにもなりますので、お手入れもかねて是非とも使って下さい。

お正月の雰囲気の演出にもぜひお重箱を。


・お正月の漆器「お重箱」(2)

今までよく使われた お重箱は 四角い18cmの三段重。
これで大体 3~4人前くらいに なるでしょうか?

ただ最近は もっと小さめの重箱も 人気があったり、 形も丸や小判型など サイズや形の バリエーションも さまざまです。

使うシーンに合わせて自由に選んで頂けます。


・お正月の漆器「お重箱」(3)

重箱を使われたあとの お手入れも 他の漆器と同じです。
中性洗剤を使って洗ってもOKですが、食洗器・乾燥機はNG。

少し気を付けるなら、特に四角い重箱は隅に水が溜まるので最後にしっかり拭き取りましょう。
乾燥を避ける意味でも あまりに仕舞い込んだり しない方がいいです。

お正月以外でも 是非お重箱を活躍させてください。


・椀と碗

「わん」と言っても 2つの漢字があるのを ご存じですか?
漆器は「椀」、 陶磁器は「碗」。
部首(偏)が 「木」と「石」。

それぞれの素材の違いを 漢字でも表しています。
一般的に、汁椀は漆器が多く 「椀」を、 茶碗は陶磁器が多く 「碗」 を使います。

漢字一つでも なかなか奥深いです。


・お椀の名前

漆器のお椀にも 多くの種類があります。
まずは蓋の有無で分けて、蓋のないものを「汁椀」、あるものを「吸物椀」 と考えるのが分かりやすいでしょう。

あとはサイズ・形状・用途で 名前が変わってきます。
例えば吸物椀より少し小さいと「小吸碗」、大きいと「雑煮椀」 と呼んだりします。

ある程度名前を覚えると イメージがしやすいかも。

材料の漆について

・そもそも 漆って 何ですか?

「漆」とは元々、うるしの木から採れる樹液からできています。
木に傷を付けると、その傷を復元しようと樹液が出てくるので、それを採取します。

何年も育てた うるしの木から採取できる漆の量は200cc程度です。


・漆はどこで採れる?

日本で使われる漆の95%以上が中国産。
日本産もありますが、貴重で価格も高く、主に神社仏閣の補修に使われます。

一般的な漆器には ほぼ中国産の漆を 使います。
日本に輸入された後、使いやすく 品質が安定するよう、漆商が精製します。

井助もそんな漆商として、190年前に創業しました。


・漆はなぜ必要?

漆はその艶や光沢、 色合いや絵柄など、見た目に注目されます。
美しく彩るという「意匠性」は、漆を使う理由の1つです。

ただ漆には、素材の木を保護する、という大きな役割 があります。
漆を塗らないと木目から水が浸透してすぐに劣化したり、少しの衝撃で割れたりします。

漆の木の樹液で木を守る、昔からの知恵の結晶です。


・漆はもともと何色?

漆は うるしの木から 採れる樹液ですが、 採取された樹液は乳白色です。
「カフェオレ色」なんておしゃれに 言われたりもします。

その生の樹液を 精製して実際に使用する漆 となりますが、その色合いは半透明の茶褐色(飴色) という感じです。

「半透明」&「飴色」、これが漆の独自性を生み出します


・漆の黒はどうやって作る?

漆の黒は何か黒いものを 漆に混ぜて作るのではありません。
漆の精製時に 鉄粉を入れて 酸化作用により 漆を黒くしたものです。

ですから、他のどんな黒とは違う漆独特の深みのある黒が出来上がるのです。
「漆黒」という言葉も そういう独特の黒を 表したものでしょう。

一口に黒と言っても いろいろあるんですね。


・漆にはいろいろな色があるの?

漆は黒以外でも 顔料を混ぜることで いろいろな色を 作ることができます。
但し元の漆が 茶色っぽいので、作れる色にも 限りがあります。

例えば、白漆は元の茶色に白の顔料を 混ぜて作りますが クリーム色みたいです。
それでも漆器の世界では 「白漆」と呼びます。

パステル調の淡い色は 漆では難しいですね。


・うるしの漢字

「うるし」の漢字は 「漆」 部首(偏)は 水を表す「さんずい」。
少し意外ですが、漆が樹液で、液体であることで納得できます。

そして右部分には 「木」が含まれています。
これで漆が樹液、つまり「木から採れる液体」であることが分かります。

漢字だけでも 漆への理解が進みますんね。

漆器の塗りについて

・漆塗りの種類(1) 拭き漆

漆の塗り方で 最もシンプルな塗りが 拭き漆(ふきうるし)。
布や刷毛を使い、生の漆に近い「生漆(きうるし)」を 木目に摺りこむように 塗りこみます。

なので別名、摺り漆 。 木目に漆が浸み込むことで 防水の役目を果たします。
また木目を鮮やかに 浮かび上がらせて、木地の美しさを 引き立てるのです。

木地と漆の一体感が 楽しめる塗りです。


・漆塗りの種類(2) 溜塗り

代表的な漆の塗り方の溜塗り(ためぬり)。
下に朱の漆を塗り、その上に半透明の透き漆(すきうるし)を 塗ることで独特の色合いを 表現します。

塗った当初は 黒に近い印象ですが、時間が経つと上の漆の透明度が増して 徐々に下の赤い漆が 主張してきます。
半透明の漆の性質や経年変化を利用した見事な表現方法です。

溜塗りで漆の美しさを 体感ください。


・漆塗りの種類(3) 白檀塗り

最近とても人気の白檀塗り(びゃくだんぬり)。
金箔や銀箔、金銀の蒔絵の上に 半透明の漆を塗ることで、飴色のような色合いを 表現する塗り方です。

金銀の風合いと半透明の漆の色合いを 重ねることで 単一のものでは表せない 奥深さが感じられます。
現代の生活空間にも 違和感ない美しさです。

ちなみに白檀塗りの名前の由来は諸説あり。


・漆塗りの種類(4) 根来塗り

根来は「ねごろ」 と読みます。
下地に黒、上に朱色を塗り、朱色を研いで下の黒を ランダムに見せます。
シンプルながら 1つずつ黒の出方が違って 面白いです。

元々、和歌山の根来寺で始まった塗り方と言われています。。
一説には朱塗りのお盆を 僧侶が毎日磨いていたら 偶然、下の黒が出てきて 広まったとか。

漆と日常の暮らしが 結びついた逸話ですね。


・漆塗りの種類(5) 曙塗り

曙(あけぼの)塗りは下に朱、上に黒を塗り、黒を研いで下の朱を ランダムに見せます。
お気付きかと思いますが、色合いが根来塗りの 真逆になっています。

おそらく 根来塗りが普及した時、誰かが逆を試したのでは、と想像します。
黒に朱が見える塗りを 明け方に光が射す 「曙」と名付けたのは言いえて妙ですね。

塗りの発展にも 歴史があるようです。

おすすめ商品一覧

  • 汁椀・大椀・ご飯椀
  • 蓋付きのお椀(吸物椀・雑煮椀)
  • 重箱・屠蘇器
  • 手鏡・ハンドミラー・コンパクトミラー
  • 漆器の雑貨
  • 食卓の小物
  • お皿・銘々皿
  • 湯呑・盃

オーダーメイド・OEM・卸販売について

漆器はもともと手作りなので、オリジナルの漆器を作ることもできます。
特に最近は、ありきたりな商品に飽きられたお客様が、引出物や会社様の記念品として、弊社でオリジナルの漆器をお作りになられて 相手様に喜んで頂けることが多くあります。
こちらでは、その手順と内容についてご説明しますので、お気軽にお問い合わせください。

お問い合わせは、こちらから
お電話やFAXは 下記までお願いいたします。
TEL:(075) 361-5281(代表),(075) 344-9710(漆器部) FAX:(075) 361-5285

オーダーメイド・OEMの内容

オーダーメイド・OEMとして、下記のようなものがあります。

1.既存の漆器商品に、お名前や会社のロゴを入れる。

こちらが、最も簡単なオリジナルの漆器になります。
お名前を入れる数量や方法(手書き蒔絵、スクリーン蒔絵など)などによって異なりますが、掛かる費用も意外と手ごろな場合も多いです。まずはお気軽にお試しください。

ご活用例1

大学で使う記念品として、弊社の漆器に大学名や卒業年度を入れたものをお使い頂いています。

京都大学様 ご寄付の記念品

京都大学様にて、卒業時にご寄付された方に対する記念品として弊社の漆器をお使い頂いてます。
商品には、裏に京都大学のロゴや卒業年度を入れさせて頂いています。

   
   
ご活用例2

企業様の販売キャンペーンの賞品として、弊社の漆器をオリジナルセットとして組み合わせました。
漆器には蒔絵にて、お客様のお名前を入れてお納めいたしました。

象印IH炊飯ジャー プレゼントキャンペーン

象印IH炊飯ジャーご購入の方対象のプレゼントキャンペーンで、
当店の「名入り京漆器セット」が採用されました!(2008年)

2.オリジナルの色合いにしたり、絵柄を入れる。

漆器の素材の形は既存のものを使い、色合いを変えたり、オリジナルの絵柄を入れたりすることもできます。
塗りの制約があるので、絵柄の色合いなどはご要望と全く同じ、というわけにはいきませんが、可能な限りご要望に添うかたちで進めさせて頂きます。

ご活用例1

飲食店様が店頭で販売されるオリジナル商品として、弊社の漆器をベースに新たなデザインでお作りしました。

Hard Rock Cafe京都店様 オリジナルまめさらの販売

京都店開店の記念して、京都の老舗とのコラボということでHard Rock Cafe様のオリジナルデザインのまめさらを制作し、販売頂きました。

ご活用例2

企業様の販売キャンペーンの賞品として、弊社の漆器をオリジナルカラーにてお作りしました。

亀田製菓様 「やっパリ、ポリっと!」キャンペーン

うれしい逸品プレゼントの賞品として、当店の 「ペアフリーカップ 美月 オリジナルバージョン」 が採用されました。
商品パッケージの他、亀田製菓様のCMで全国放映頂きました。

3.全くのオリジナルで漆器をつくる。

まったくお客様のご要望に沿った、オリジナルの漆器を作ることもできます。
ただ、この場合は素材の形など、お客様とのご意見の摺り合わせも多くなります。

ご活用例1

引出物として、お盆にオリジナルの絵柄を手書きして作りました。
お盆の形も、全くのオリジナルではありませんが、いくつかの木地から選択頂きました。

ご活用例2

大手酒造メーカー様の商品ご購入特典の記念品として、当店でお箸・箸袋オリジナルセットを制作、ご採用頂きました。

オーダーメイド漆器の納品までの流れ

1.まずは、ご連絡ください。

お問い合わせは、こちらから

※ご要望確認内容

  1. どのようなオリジナルの漆器をご要望ですか?
    ご希望の商品はございますか?
    名入れのみですか?オリジナルの絵柄にしますか?
  2. ご要望の数量はいくらですか?
  3. 納期はいつですか?
  4. 予算はいくらくらいですか?
2.作成の内容、お見積りをご連絡いたします。

内容をご確認ください。
ご納得頂けるまで、ご連絡・確認は頻繁にさせて頂きます。

場合によっては、試作品をお作りして、最終確認いたします。(試作品代は、別途お願いいたします)

3.ご注文

基本的には、ご注文の際、前金をお願いしております。

4.納品

商品制作完了後、検品して納品となります。

ご注意点

  1. 漆器は基本的にほとんどが手作りですので、製作に時間がかかります。
    特に、1度に大量の商品を製作することはできません。
    ご要望頂く際には、納期に余裕をもってご連絡ください。
  2. 絵柄をオリジナルにする場合、手書きの際は、1つ1つが多少異なってしまいます。
    前もってご了承ください。

通常商品の卸販売について

オーダーメイドではない通常商品の卸販売も承っています。

・小売店舗様での販売アイテムとして
・会社の記念品やノベルティ用として
・旅館やレストラン、ホテルなどで使用される業務用漆器として

お気軽にご相談ください。

漆と漆器の基礎知識

漆と漆器の豆知識

漆や漆器は海外で「ジャパン」とも呼ばれ、多くの漆器収集家がいるほどです。
しかし、日本の方でも漆器について深い知識を持っている方は少ないのではないでしょうか。
こちらでは、原料としての漆の基礎知識や漆器の豆知識をご紹介します。
これらを知ることで、より漆器が身近なものに感じられることでしょう。

この他、うるしや漆器のお話を1つ1つコンパクトにまとめて「まめ知識」としても公開してます。井助のインスタグラムで継続して順次アップしている内容になりますので、ぜひそちらもご覧ください。

「漆器のまめ知識」はこちらから

井助のinstagramはこちらから

漆の木の表面に傷をつけ、そこから出てくる乳白色の樹液を採取したものが漆液の元になります。 この漆液をろ過し、木の皮などの取り除いたものを「生漆(きうるし)」と呼びます。 これが一般的な漆の元になるもので、このままでも摺り漆(すりうるし)として使われます。

漆の木から樹液採取

漆の木は、日本や中国、東南アジアなどで生育し、以前は日本各地で漆を生産したようですが、現在では日本で使う漆の90%以上が中国から輸入されたものです。

日本産の漆は希少で価格も高い(中国産の5倍程度)ので、主に神社仏閣の補修などに使われています。

漆は天然のものですから、採取した国や産地により、また採取した年代や時期によって、 漆の成分が異なり、粘度や乾きの早さなどの性質が違ってきます。それらの性質を把握し、異なる漆を組み合わせるなどして、使用目的にあった適当な漆を作り出すことが漆を扱うノウハウとなります。

生漆にナヤシ(かきまぜて漆の成分を均一にする)やクロメ(加熱して余分な水分を取り除く)といった精製作業を行い、精製漆を作ります。 この漆は、透明な飴色で「透漆(すきうるし)」と呼ばれます。

また、精製作業において鉄粉をまぜ、酸化作用により漆を黒くしたものが「黒漆」で、皆さんが良く知っておられる黒い漆になります。

さらに、この「透漆」や「黒漆」に油分を加えて艶のある漆にしたり、「透漆」に顔料を加えて朱や緑といった「 色漆」をつくったりします。

漆はウルシオールという樹脂分が主成分で、その他に水分、ゴム質、酵素などを含みます。
この成分の割合は、採取される国によって異なっており、それぞれの漆の性質の違いになってきます。

例えば、日本とベトナムで採取される漆では、主成分のウルシオールの割合が大きく異なり、日本が2倍ほど多くなっています。

日本で使う場合、日本の漆の品質が最も良い、とされるのは、元々日本の気候や風土にあった成分の漆が採取されるからだと考えられます(もちろん、採取した後のろ過や精製工程の差もあります)。

漆が乾くメカニズムは、一般的な「乾く」という概念とは大きく異なります。 一般的に「乾く」というのは、水分が空気中に蒸発する、というイメージがありますが、漆は全く逆で、空気中の水分を取り込んで乾きます。

漆が乾くというのは、成分の酵素(ラッカーゼ)が、水分の中の酸素を取り込んで反応し、ウルシオールが液体から固体になっていくことです。
ですから、漆を乾燥させるには、温度が25~30℃、湿度が70%程度が最も良いとされ、漆が乾くというのは、成分の酵素(ラッカーゼ)が、水分の中の酸素を取り込んで反応し、ウルシオールが液体から固体になっていくことです。
ですから、漆を乾燥させるには、温度が25~30℃、湿度が70%程度が最も良いとされ、日本では梅雨時期が最も乾燥が早くなります。梅雨時期や夏場は気候的にも乾きやすくなりますが、それ以外の時期でも漆を乾かすため、「漆風呂」「むろ」と呼ばれる漆用の乾燥室を使います。

密閉できる棚のようなもので、下部に濡らした布を置き、湿度を調整します。
最も簡単な「むろ」としては、衣装用のプラスチックケースを使い、やはり下部に濡らした布を 置き密閉します。

漆塗りというと、扱いにくい、はがれやすいといったイメージがありますが、これは全くの間違いです。

漆の塗膜は堅く、また非常に柔軟でもあり、現代の一般的な化学塗料よりも強靭で優れた性質をもっています。
酸、アルカリ、塩分、アルコールにも強く、また耐水性、断熱性、防腐性なども高いということも 特徴です。
また、接着剤としても優れており、陶磁器を修復する「金つぎ」や、染型を作るときに紗に型紙を張る工程などで、古くから接着剤として漆が使われてきました。

ただ、漆は紫外線にはあまり強くありませんので、屋外で使用する際には塗り替えなどが必要になってきます。
漆塗りの漆器を保管する場合でも、直射日光を避けた方が良いでしょう。

また、漆は乾くのに時間が掛かるという特徴があります。
このために1つの漆器を塗り、仕上げるためにも長く時間が掛かってしまうのですが、逆に漆がゆっくりと乾くことを活用して、蒔絵や沈金といった漆塗り独特の加飾が可能になるのです。

「漆黒の闇」とか「漆黒の髪」といったように、 深みがある黒や光沢のある黒をあらわす時に「漆黒(しっこく)」ということばを使います。
辞書で調べると、「漆のように黒く光沢のあること。また、その色。」(「大辞林 第二版」より)ということなのですが、この言葉は、実は漆のある特性をよく表している言葉だと思います。

上記で説明させて頂いたように、精製された漆は、元々茶色がかった透明をしており、黒以外の色漆(朱色など)は、 この透漆に顔料を混ぜることで色を出すのです。
ただし黒色だけは、精製の段階で鉄分を混ぜ、鉄の酸化作用によって、漆自身が黒色に変化したものなのです。
いわば漆の黒色は他の黒色とは異なり、漆でしか出せない 漆特有の黒色、「他にはない黒」ということになります。

ですから、その深みがあり光沢のある黒色を、漆独特の黒色になぞらえて「漆黒」と呼ぶようになったのでしょう。

はじめてこの話を聞いたとき、漆や漆器に携わる身として、「他にはない黒」というフレーズになぜか嬉しくなったのを覚えています。
漆器の艶やかな黒を見るとき、ちょっとこの話を思い出して頂ければ嬉しいです。

黒以外の色は、「透き漆」というベースになる漆に 顔料を混ぜてできるのですが、元々この「透き漆」があめ色がかった半透明をしているため、いくら顔料を混ぜても、淡い色合いを出すことはできません。

ですから、一般的な漆の色合いとしては、朱(いわゆる赤色)、洗朱(オレンジのような色)、緑、黄色などで、どれも濃い目の色合いになります。

そして、漆では淡い色合いがでない、という最も端的な例は「白漆」です。 これも、ベースの漆のあめ色に白の顔料を混ぜるのですから、 決して真っ白にはならず、いわゆる「ベージュ」のような色になります。

このことを知らずに白漆の塗られた漆器を見られた方は、間違いなく その色を「白」というふうには表現しないだろう、と思います。

ですが、この「白漆」の色は、なんとも落ち着いた色合いで、ひとつの独立した魅力的な色合いとなっています。

この本当の「白」ではないけど「白漆」の「白」という 独自の色合いを楽しむ、というところが、また漆の面白いところかもしれません。

ただこの白漆はくせもので、顔料の混ぜ方はもちろん、 塗り方や塗った時の温度や湿度などの環境の違いで、色合いが異なってきます。
このあたりが、塗師屋の腕の見せどころでしょうか?

一般に漆器と言われるものの素材でも、木曾ヒノキやケヤキなどの高級木材を使用したものから、樹脂製(プラスチック製)の工業品まで品質は実に様々。
現在、一般に流通している漆器の主な素材を以下にまとめました。

なお当店では、基本的には木製、あるいは木粉と樹脂の成型品(木紛加工品)を中心に扱っております。
商品ごとに素材欄を設けてありますのでご確認ください。

漆器の木製素材
(1)木製
最も一般的で、木としては欅(ケヤキ)、ミズメ桜、栃、センノキなどが使われます。
用途や価格などにより使い分けますが、特に欅は木目も美しく、漆器の素材として、 最高級の木とされています。
(2)木粉と樹脂の成型品(木紛加工品)
木の粉に樹脂をまぜて、型を使って固めたものです。天然木加工品や木乾と呼ばれることもあります。
木製に比べて価格を抑えることができ、複雑な形に成型できるのも特徴。
木製のものに比べると、少し重くなり、また質感などはやはり落ちますが、耐久性は木製のものと比べても遜色ありません。また、プラスチックよりは木の質感に近いといえます。
なによりお手頃な価格で漆器の感覚を味わえるのが魅力です。
(3)プラスチック、ABSなどの樹脂製

木紛加工品と違い、樹脂だけを固めたものです。やはり質感などがかなり落ちます。 当店ではほとんど取り扱っておりません。

その他、布を漆で貼り重ねて造形する乾漆や、竹を編んで素地にする藍胎などもございます。

漆の塗りについて

漆以外に、塗料(カシュー、ウレタン塗料など)を塗ってあるものも、広い意味で漆器と呼ばれています。

当店では基本的には漆塗りを行っております。
ただ 、漆塗りに比べ、よりお手頃な価格で漆器をご提供できること、また漆ではなかなか実現できない色合いが出せることの理由から一部にウレタン塗料などを施してある商品もございます。

ただし、お椀類などは、できる限り漆を使うことにしております。

商品ごとに、素材を明記しておりますので、ご参照ください。

おすすめ商品一覧

  • 汁椀・大椀・ご飯椀
  • 蓋付きのお椀(吸物椀・雑煮椀)
  • 重箱・屠蘇器
  • 手鏡・ハンドミラー・コンパクトミラー
  • 漆器の雑貨
  • 食卓の小物
  • お皿・銘々皿
  • 湯呑・盃

漆器のお手入れ方法

漆器のお手入れ方法

漆器というと、手入れが難しいとよく言われるのですが、決してそんなことはありません。 漆器独特の性質として、極度の乾燥や湿気、急激な温度変化を嫌うこと、また木という材質的に他の製品より柔らかいことが挙げられます。
このことを念頭に入れて頂き、日々のお手入れをして頂ければ、漆器は長年お使いいただくことによって、美しい光沢が生まれ非常に味わい深いものになってくるものです。

こちらでは漆器のお手入れ方法をご紹介いたします。
正しいお手入れ方法をご理解頂き、漆器を長年ご愛用ください。

  1. 器を誤ってご使用頂いた場合は、商品を破損したり、けがをしたりする場合もございますので、商品本来の用途、使用目的に沿って正しくお使いください。
  2. 直火、電子レンジ、オーブン等でのご使用はしないでください。
  3. お椀やカップなどに、熱いものを入れていただいても結構です。
    熱いものを入れても大丈夫 ただし、沸騰したてのものなど、非常に高温のものは入れないで下さい。入れた場合は、塗りが白く変色してしまうことがあり、これは残念ながら元にはもどりません。
    すぐに飲める程度の熱さなら大丈夫ですが、気になる場合は、一度ぬるま湯に通してから入れると、急激な温度変化が避けられます。
  4. 漆器に割れやひびが入った場合は、お早めに新しい漆器への交換をお勧めします。
    場合によっては塗り直しや修復が可能な場合もございますので、当店か最寄の漆器専門店にご相談してください。
  5. 低温度でのご使用は問題ありませんが、冷蔵庫に入れてのご使用した場合、漆器を乾燥させるため、ひびなどが発生する場合があるのでご注意ください。
  6. 漆器を水につけたまま、あるいは水分のあるものを入れたまま、長い間放置しないでで下さい。
  7. 漆は元々強い塗りなので、お酢や油ものを入れて頂いても、問題ありません。
    但し、保存用として入れたままお使いになることはお薦めしません。
  1. 台所用中性洗剤を使って、やわらかいスポンジで洗って頂いて結構です。
  2. なるべく、長時間、水につけておかない方が良いです。
  3. 漆は陶器などと比べるて柔らかい材質ですから、洗うときはできれば陶器などとは別にして洗ってください。
  4. 洗い終わったら、自然に乾かすよりも布巾で拭くほうが漆が長持ちします。
  5. 蒔絵などのついた高価なものだけは、少し注意して洗いましょう。
    ガーゼの布などでやさしく洗って、拭き取りもやわらかい布巾で行ってください。
  6. 漆器はやわらかい布で拭き取って下さい
  7. 水気を拭き取る際、特に重箱の角やお椀の底など、水がたまりやすいところは特に 気をつけて拭いて頂くと良いです。
  8. 食器洗浄機、乾燥機の使用は避けてください。
    洗浄機は洗剤が非常に強いので塗りにはよくありませんし、乾燥機は素材を変形させてしまうことがあります。 現在では、食器洗浄機対応をうたった漆器もありますが、やはり使って頂かない方が無難だと思いますので、当店ではあまりお薦めしておりません。
  1. 紫外線は漆塗りの塗膜によくないので、直射日光の当たらない食器棚に収納してください。
  2. 重ねて収納して傷や衝撃が気になる場合は、漆器と漆器の間に布や紙などをはさんでください。
  3. 漆器は極端な乾燥を嫌がるので、長く使わない場合は、食器棚に少し水の入ったコップなどを置いて、乾燥しないようにしましょう。

本来は、ずっとしまっておくことよりも、日々の生活の中で使って頂ければ、乾燥も免れますし、漆器にとっても喜ばしい事と思います。お使いになることが最も適した保管方法ともいえます。

スペースをとらずに保管するのには、入れ子構造のお椀やお重箱がおすすめです。

入れ子の漆器はこちら

1.漆器は電子レンジで使用できますか?

電子レンジでの漆器のご使用はできません。
最近は、特殊な樹脂と塗料を使った業務用の漆器で (もちろん、木製漆塗りではありません)、電子レンジ対応のものもでていますが、家庭用の漆器では少ないですし、質感としてはかなりチープな印象になってしまいますので、弊社ではお取り扱いしていません。

この他、直火やオーブンはやはりNGです。

2.冷蔵庫に入れても大丈夫?

通常の冷蔵程度の低温では、冷蔵庫に入れて頂いてもOKです。
ただ、冷蔵庫の中は極度に乾燥していることがあるので、乾燥には注意が必要です。

また、漆器を保存用に使うときは、入れて頂く食材に水分がある場合、水分がずっと付着している状態になりますので、塗りにはあまりよくありません。

例えば、漆器の盛鉢にサラダを盛り付けて、食事が始まるまで冷蔵庫に入れておく、といった扱いは、全く問題ありません。

サラダの盛り付けにおすすめの漆器はこちら

3.お酢や油ものを盛り付けても大丈夫?

元々、漆は酸にもアルカリにも強い性質を持っており、酢のものを盛り付けても全く問題ありません。

同様に油ものも問題ないですが、油で揚げたものをすぐに漆器に盛ると、食材に付いた油が高温のため、 漆器の色が変わってしまうことがあります。
1度揚げたものを紙の上などに置いて油を吸わせてから、 漆器に盛り付ける、といったような扱いが良いと思います。 (普通は、漆器でなくてもそうしますよね)

4.漆器の鉢にスープなどの汁ものを入れてもいいの?

これも意外とよく聞かれる質問です。
基本的に、形状が違うだけで、汁椀も鉢も作りは一緒なので、スープなどを入れて頂いてももちろん問題ありません。

熱いものでも、沸騰したてではなく、食べれる程度の熱さのものなら、 まず大丈夫です。
もし、例えば大事な漆器の器で気になる場合は、 盛り付ける前に、先にぬるま湯を入れておいて、その後お汁物を入れると、急激な温度変化が避けられ、 漆器にも負担がかかりません。(何事も、急激な変化はだめということです)

漆器というと、扱いに制限があるように思われる方が多いのですが、基本的にはあまり気を使って頂かなくてもOKです。
強いていうなら、極度に乾燥させない、長時間水につけない、極端に高温のものを入れない(沸騰したての汁物など)、などを注意頂ければ大丈夫かと思います。

是非とも、恐れずに日常生活で漆器をもっと使った頂けたら、思います。

スープなどを入れるのにもおすすめの漆器はこちら

漆のかぶれについて

塗ってまだ日が浅く、またお客様の体質的なことにより、ごくまれに漆でかぶれることがあります。
弊社では、そのあたりを十分に考慮して漆器を販売しておりますが、万一、異常を感じたときは、ご使用を控えていただき専門医にご相談ください。

漆の臭いについて

漆塗りの商品は通常箱に入れて保管・販売しますので、その間に漆の匂いがこもってしまい、ご購入いただいたときに気になる場合がございます。
特に、すぐに匂いが抜ける即効薬はないのですが、一度ぬるま湯などで洗っていただき、風通しの良い(直射日光の当たらない)ところに置いておくと、早く匂いを抜くことができます。

風通しの良い所に置いて匂い抜き

漆の匂いは、害になるものではもちろんありませんし、使っていただく間に自然となくなっていくものです。
ただし、箱の中にずっとしまっておくと、匂いはこもってなかなか抜けませんので、やはり使って頂くことが一番です。

おすすめ商品一覧

  • 汁椀・大椀・ご飯椀
  • 蓋付きのお椀(吸物椀・雑煮椀)
  • 重箱・屠蘇器
  • 手鏡・ハンドミラー・コンパクトミラー
  • 漆器の雑貨
  • 食卓の小物
  • お皿・銘々皿
  • 湯呑・盃

リンク

リンクについて

京都 漆塗り・漆器販売 漆器の井助をご覧いただき、誠にありがとうございます。
当サイトはリンクフリーです。
リンクしていただける場合は下記のテキストリンクもしくは、バナーをお使いください。

テキストリンク

下記のソースをコピーしてご使用ください。

<a href="https://www.isuke.co.jp/" title="京都 漆塗り・漆器販売 漆器の井助"><strong>京都 漆塗り・漆器販売 漆器の井助</strong></a>

表示例:京都 漆塗り・漆器販売 漆器の井助

バナーリンク

下記のソースをコピーしてご使用ください。
画像は、できるだけ保存してお使いください。

<a href="https://www.isuke.co.jp/"><img src="https://www.isuke.co.jp/img/link/isuke_banner.jpg" alt="京都 漆塗り・漆器販売 漆器の井助"></a<

表示例:京都 漆塗り・漆器販売 漆器の井助

母の日特集

カレンダー
  • 今日
  • 休業日
  • 発送業務のみ

※日祝は休業日、土曜は不定休となります(土曜日の営業時間は9時~15時30分)

【メールマガジンの登録】
メールアドレスを入力して下さい

変更・解除・お知らせはこちら

ページトップへ