京都で創業180年余 - 漆器の老舗 漆器の井助 isuke

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お手入れ・豆知識

漆と漆器の豆知識

漆の基礎知識

漆や漆器は海外で「ジャパン」とも呼ばれ、多くの漆器収集家がいるほどです。
しかし、日本の方でも漆器について深い知識を持っている方は少ないのではないでしょうか。
こちらでは、原料としての漆の基礎知識をご紹介します。


「漆(うるし)」って何?

漆の木の表面に傷をつけ、そこから出てくる乳白色の樹液を採取したものが漆液の元になります。
この漆液をろ過し、木の皮などの取り除いたものを「生漆(きうるし)」と呼びます。
これが一般的な漆の元になるもので、このままでも摺り漆(すりうるし)として使われます。

漆の木は、日本や中国、東南アジアなどで生育し、以前は日本各地で漆を生産したようですが、
現在では日本で使う漆の90%以上が中国から輸入されたものです。

日本産の漆は希少で価格も高い(中国産の5倍程度)ので、主に神社仏閣の補修などに使われています。

漆は天然のものですから、採取した国や産地により、また採取した年代や時期によって、
漆の成分が異なり、粘度や乾きの早さなどの性質が違ってきます。
それらの性質を把握し、異なる漆を組み合わせるなどして、使用目的にあった適当な漆を作り出すことが
漆を扱うノウハウとなります。


漆の精製作業

生漆にナヤシ(かきまぜて漆の成分を均一にする)やクロメ(加熱して余分な水分を取り除く)といった
精製作業を行い、精製漆を作ります。 この漆は、透明な飴色で「透漆(すきうるし)」と呼ばれます。

また、精製作業において鉄粉をまぜ、酸化作用により漆を黒くしたものが「黒漆」で、
皆さんが良く知っておられる黒い漆になります。

さらに、この「透漆」や「黒漆」に油分を加えて艶のある漆にしたり、
「透漆」に顔料を加えて朱や緑といった「 色漆」をつくったりします。


漆の成分

漆はウルシオールという樹脂分が主成分で、その他に水分、ゴム質、酵素などを含みます。
この成分の割合は、採取される国によって異なっており、それぞれの漆の性質の違いになってきます。

例えば、日本とベトナムで採取される漆では、主成分のウルシオールの割合が大きく異なり、
日本が2倍ほど多くなっています。

日本で使う場合、日本の漆の品質が最も良い、とされるのは、
元々日本の気候や風土にあった成分の漆が採取されるからだと考えられます
(もちろん、採取した後のろ過や精製工程の差もあります)。

漆の乾くメカニズム

漆が乾くメカニズムは、一般的な「乾く」という概念とは大きく異なります。
一般的に「乾く」というのは、水分が空気中に蒸発する、というイメージがありますが、
漆は全く逆で、空気中の水分を取り込んで乾きます。

漆が乾くというのは、成分の酵素(ラッカーゼ)が、水分の中の酸素を取り込んで反応し、
ウルシオールが液体から固体になっていくことです。
ですから、漆を乾燥させるには、温度が25~30℃、湿度が70%程度が最も良いとされ、
漆が乾くというのは、成分の酵素(ラッカーゼ)が、水分の中の酸素を取り込んで反応し、
ウルシオールが液体から固体になっていくことです。
ですから、漆を乾燥させるには、温度が25~30℃、湿度が70%程度が最も良いとされ、
日本では梅雨時期が最も乾燥が早くなります。梅雨時期や夏場は気候的にも乾きやすくなりますが、
それ以外の時期でも漆を乾かすため、「漆風呂」「むろ」と呼ばれる漆用の乾燥室を使います。

密閉できる棚のようなもので、下部に濡らした布を置き、湿度を調整します。
最も簡単な「むろ」としては、衣装用のプラスチックケースを使い、やはり下部に濡らした布を 置き密閉します。


漆の塗膜の特徴

漆塗りというと、扱いにくい、はがれやすいといったイメージがありますが、これは全くの間違いです。

漆の塗膜は堅く、また非常に柔軟でもあり、現代の一般的な化学塗料よりも強靭で優れた性質をもっています。
酸、アルカリ、塩分、アルコールにも強く、また耐水性、断熱性、防腐性なども高いということも 特徴です。
また、接着剤としても優れており、陶磁器を修復する「金つぎ」や、
染型を作るときに紗に型紙を張る工程などで、古くから接着剤として漆が使われてきました。

ただ、漆は紫外線にはあまり強くありませんので、屋外で使用する際には塗り替えなどが必要になってきます。
漆塗りの漆器を保管する場合でも、直射日光を避けた方が良いでしょう。

また、漆は乾くのに時間が掛かるという特徴があります。
このために1つの漆器を塗り、仕上げるためにも長く時間が掛かってしまうのですが、
逆に漆がゆっくりと乾くことを活用して、蒔絵や沈金といった漆塗り独特の加飾が可能になるのです。


「漆黒」という言葉

「漆黒の闇」とか「漆黒の髪」といったように、 深みがある黒や光沢のある黒をあらわす時に
「漆黒(しっこく)」ということばを使います。
辞書で調べると、「漆のように黒く光沢のあること。また、その色。」
(「大辞林 第二版」より)ということなのですが、この言葉は、実は漆のある特性をよく表している言葉だと思います。

上記で説明させて頂いたように、精製された漆は、元々茶色がかった透明をしており、
黒以外の色漆(朱色など)は、 この透漆に顔料を混ぜることで色を出すのです。
ただし黒色だけは、精製の段階で鉄分を混ぜ、鉄の酸化作用によって、漆自身が黒色に変化したものなのです。
いわば漆の黒色は他の黒色とは異なり、漆でしか出せない 漆特有の黒色、
「他にはない黒」ということになります。

ですから、その深みがあり光沢のある黒色を、漆独特の黒色になぞらえて「漆黒」と呼ぶようになったのでしょう。

はじめてこの話を聞いたとき、漆や漆器に携わる身として、「他にはない黒」というフレーズに
なぜか嬉しくなったのを覚えています。
漆器の艶やかな黒を見るとき、ちょっとこの話を思い出して頂ければ嬉しいです。


漆の色合い

黒以外の色は、「透き漆」というベースになる漆に 顔料を混ぜてできるのですが、
元々この「透き漆」があめ色がかった半透明をしているため、いくら顔料を混ぜても、
淡い色合いを出すことはできません。

ですから、一般的な漆の色合いとしては、朱(いわゆる赤色)、洗朱(オレンジのような色)、緑、黄色などで、
どれも濃い目の色合いになります。

そして、漆では淡い色合いがでない、という最も端的な例は「白漆」です。
これも、ベースの漆のあめ色に白の顔料を混ぜるのですから、 決して真っ白にはならず、
いわゆる「ベージュ」のような色になります。

このことを知らずに白漆の塗られた漆器を見られた方は、間違いなく その色を「白」というふうには
表現しないだろう、と思います。

ですが、この「白漆」の色は、なんとも落ち着いた色合いで、ひとつの独立した魅力的な色合いとなっています。

この本当の「白」ではないけど「白漆」の「白」という 独自の色合いを楽しむ、というところが、
また漆の面白いところかもしれません。

ただこの白漆はくせもので、顔料の混ぜ方はもちろん、
塗り方や塗った時の温度や湿度などの環境の違いで、色合いが異なってきます。
このあたりが、塗師屋の腕の見せどころでしょうか?


漆器の豆知識

こちらでは、漆器の豆知識をご紹介。
これらを知ることで、より漆器が身近なものに感じられることでしょう。


漆器の素材

一般に漆器と言われるものの素材でも、木曾ヒノキやケヤキなどの高級木材を使用したものから、
樹脂製(プラスチック製)の工業品まで品質は実に様々。
現在、一般に流通している漆器の主な素材を以下にまとめました。

なお当店では、基本的には木製、あるいは木紛加工品を中心に扱っております。
商品ごとに素材欄を設けてありますのでご確認ください。


(1)木製

最も一般的で、木としては欅(ケヤキ)、ミズメ桜、栃、センノキなどが使われます。
用途や価格などにより使い分けますが、特に欅は木目も美しく、漆器の素材として、 最高級の木とされています。

(2)木紛加工品

木の粉に樹脂をまぜて、型を使って固めたものです。天然木加工品や、木乾と呼ばれることもあります。
木製に比べて価格を抑えることができ、複雑な形に成型できるのも特徴。
木製のものに比べると、少し重くなり、また質感などはやはり落ちますが、
耐久性は木製のものと比べても遜色ありません。
また、プラスチックよりは木の質感に近いといえます。
なによりお手頃な価格で漆器の感覚を味わえるのが魅力です。

(3)プラスチック、ABSなどの樹脂製

木紛加工品と違い、樹脂だけを固めたものです。やはり質感などがかなり落ちます。
当店ではほとんど取り扱っておりません。

その他、布を漆で貼り重ねて造形する乾漆や、竹を編んで素地にする藍胎などもございます。


漆器の塗りについて

漆以外に、塗料(カシュー、ウレタン塗料など)を塗ってあるものも、広い意味で漆器と呼ばれています。

当店では基本的には漆塗りを行っております。
ただ 、漆塗りに比べ、よりお手頃な価格で漆器をご提供できること、
また漆ではなかなか実現できない色合いが出せることの理由から
一部にウレタン塗料などを施してある商品もございます。

ただし、お椀類などは、全て漆を使うことを徹底しております。

商品ごとに、素材を明記しておりますので、ご参照ください。

漆器のお手入れ方法

漆器というと、手入れが難しいとよく言われるのですが、決してそんなことはありません。
漆器独特の性質として、極度の乾燥や湿気、急激な温度変化を嫌うこと、
また木という材質的に他の製品より柔らかいことが挙げられます。
このことを念頭に入れて頂き、日々のお手入れをして頂ければ、漆器は長年お使いいただくことによって、
美しい光沢が生まれ非常に味わい深いものになってくるものです。

こちらでは漆器のお手入れ方法をご紹介いたします。
正しいお手入れ方法をご理解頂き、漆器を長年ご愛用ください。


漆器をお使い頂く際のご注意点

  1. 漆器を誤ってご使用頂いた場合は、商品を破損したり、けがをしたりする場合もございますので、
    商品本来の用途、使用目的に沿って正しくお使いください。
  2. 直火、電子レンジ、オーブン等でのご使用はしないでください。
  3. お椀やカップなどに、熱いものを入れていただいても結構です。
    ただし、沸騰したてのものなど、非常に高温のものを入れた場合は、
    塗りが白く変色してしまうことがあり、これは残念ながら元にはもどりません。
    すぐに飲める程度の熱さなら大丈夫ですが、気になる場合は、
    一度ぬるま湯に通してから入れると、急激な温度変化が避けられます。
  4. 漆器に割れやひびが入った場合は、お早めに新しい漆器への交換をお勧めします。
    場合によっては塗り直しや修復が可能な場合もございますので、
    当店か最寄の漆器専門店にご相談してください。
  5. 低温度でのご使用は問題ありませんが、冷蔵庫に入れてのご使用した場合、
    漆器を乾燥させるため、ひびなどが発生する場合があるのでご注意ください。
  6. 漆器を水につけたまま、あるいは水分のあるものを入れたまま、長い間放置しないでで下さい。
  7. 漆は元々強い塗りなので、お酢や油ものを入れて頂いても、問題ありません。
    但し、保存用として入れたままお使いになることはお薦めしません。

漆器の洗い方・拭き方

  1. 台所用中性洗剤を使って、やわらかいスポンジで洗って頂いて結構です。
  2. なるべく、長時間、水につけておかない方が良いです。
  3. 漆は陶器などと比べるて柔らかい材質ですから、
    洗うときはできれば陶器などとは別にして洗ってください。
  4. 洗い終わったら、自然に乾かすよりも布巾で拭くほうが漆が長持ちします。
  5. 蒔絵などのついた高価なものだけは、少し注意して洗いましょう。
    ガーゼの布などでやさしく洗って、拭き取りもやわらかい布巾で行ってください。
  6. 水気を拭き取る際、特に重箱の角やお椀の底など、
    水がたまりやすいところは特に 気をつけて拭いて頂くと良いです。
  7. 食器洗浄機、乾燥機の使用は避けてください。
    洗浄機は洗剤が非常に強いので塗りにはよくありませんし、
    乾燥機は素材を変形させてしまうことがあります。
    現在では、食器洗浄機対応をうたった漆器もありますが、
    やはり使って頂かない方が無難だと思いますので、当店ではあまりお薦めしておりません。

漆器の保管方法

  1. 紫外線は漆塗りの塗膜によくないので、直射日光の当たらない食器棚に収納してください。
  2. 重ねて収納して傷や衝撃が気になる場合は、漆器と漆器の間に布や紙などをはさんでください。
  3. 漆器は極端な乾燥を嫌がるので、長く使わない場合は、
    食器棚に少し水の入ったコップなどを置いて、乾燥しないようにしましょう。

本来は、ずっとしまっておくことよりも、日々の生活の中で使って頂ければ、乾燥も免れますし、
漆器にとっても喜ばしい事と思います。お使いになることが最も適した保管方法ともいえます。


漆器の使い方 これってOK?

1.漆器は電子レンジで使用できますか?

電子レンジでの漆器のご使用はできません。
最近は、特殊な樹脂と塗料を使った業務用の漆器で (もちろん、木製漆塗りではありません)、
電子レンジ対応のものもでていますが、家庭用の漆器では少ないですし、
質感としてはかなりチープな印象になってしまいますので、弊社ではお取り扱いしていません。

この他、直火やオーブンはやはりNGです。


2.冷蔵庫に入れても大丈夫?

通常の冷蔵程度の低温では、冷蔵庫に入れて頂いてもOKです。
ただ、冷蔵庫の中は極度に乾燥していることがあるので、乾燥には注意が必要です。

また、漆器を保存用に使うときは、入れて頂く食材に水分がある場合、
水分がずっと付着している状態になりますので、塗りにはあまりよくありません。

例えば、漆器の盛鉢にサラダを盛り付けて、食事が始まるまで冷蔵庫に入れておく、
といった扱いは、全く問題ありません。


3.お酢や油ものを盛り付けても大丈夫?

元々、漆は酸にもアルカリにも強い性質を持っており、酢のものを盛り付けても全く問題ありません。

同様に油ものも問題ないですが、油で揚げたものをすぐに漆器に盛ると、
食材に付いた油が高温のため、 漆器の色が変わってしまうことがあります。
1度揚げたものを紙の上などに置いて油を吸わせてから、 漆器に盛り付ける、
といったような扱いが良いと思います。 (普通は、漆器でなくてもそうしますよね)


4.漆器の鉢にスープなどの汁ものを入れてもいいの?

これも意外とよく聞かれる質問です。
基本的に、形状が違うだけで、汁椀も鉢も作りは一緒なので、
スープなどを入れて頂いてももちろん問題ありません。

熱いものでも、沸騰したてではなく、食べれる程度の熱さのものなら、 まず大丈夫です。
もし、例えば大事な漆器の器で気になる場合は、 盛り付ける前に、先にぬるま湯を入れておいて、
その後お汁物を入れると、急激な温度変化が避けられ、 漆器にも負担がかかりません。
(何事も、急激な変化はだめということです)

漆器というと、扱いに制限があるように思われる方が多いのですが、
基本的にはあまり気を使って頂かなくてもOKです。
強いていうなら、極度に乾燥させない、長時間水につけない、極端に高温のものを入れない
(沸騰したての汁物など)
、などを注意頂ければ大丈夫かと思います。

是非とも、恐れずに日常生活で漆器をもっと使った頂けたら、思います。


その他のご注意点

漆のかぶれについて

塗ってまだ日が浅く、またお客様の体質的なことにより、ごくまれに漆でかぶれることがあります。
弊社では、そのあたりを十分に考慮して漆器を販売しておりますが、
万一、異常を感じたときは、ご使用を控えていただき専門医にご相談ください。


漆の臭いについて

漆塗りの商品は通常箱に入れて保管・販売しますので、
その間に漆の匂いがこもってしまい、ご購入いただいたときに気になる場合がございます。
特に、すぐに匂いが抜ける即効薬はないのですが、一度ぬるま湯などで洗っていただき、
風通しの良い(直射日光の当たらない)ところに置いておくと、早く匂いを抜くことができます。

漆の匂いは、害になるものではもちろんありませんし、使っていただく間に自然となくなっていくものです。
ただし、箱の中にずっとしまっておくと、匂いはこもってなかなか抜けませんので、
やはり使って頂くことが一番です。

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